ON/OFF - 私の抱える病について vol.3


CROSS FINGERS artwork by Naoya Nanashino

【前回のあらすじ】
境界性パーソナリティー障害を決定的に発症し、躁鬱病、その他も悪化。名医に出会った事を転機に境界性は寛解。しかし、躁状態の逸脱した行動を鬱の時に後悔するため、折角活動できる躁期間の行動を自己制限するようになってしまっている悩ましい現状。
詳しくはコチラから読んでいただけたら嬉しいです→ vol.1 , vol.2



こんな非建設的な現状でいまいち解せないのは、症状が軽かったとはいえ、美大時代は躁鬱の波とうまく付き合いながら作品制作できていたこと。
躁でも鬱でもない期間であるにも関わらず、なぜかどうにもうまく活動できないこと。
完全に躁転している自覚のある時期と、酷い鬱の時以外も、なんだか気分が沈みがちなこと。
まるで沈みがちの時期がノーマルの私であるかのような。

本来の私は、活発で情報収集に余念なく、お喋りで、人と接するのが大好き。
それが今や、SNSでの交流どころか、投稿やニュースを読むだけで消耗したりもする。こんなはずじゃなかったのに…。


そこでまたもや、『坂口恭平 躁鬱日記』にヒントが。以下引用です。

普通、躁鬱病というものは苦しい病であるとされているので、どうにかその躁鬱の波を消そうと試みられるのである。だから大量の薬を投入し、上がりも下がりもせず、いやどちらかというと、少しだけ下がっているような気分で落ち着かせるというような治療が行われているらしい。躁鬱にとって、少しだけ下がっているような気分はとてもきついのではないかと僕は思う。しかしそれでも、躁になって暴れてしまい、枠を飛び出た行動をするよりかましとぃうことなのだそうだ。



これです!私が受けている治療は正にこれ。
このせいでいつも気分が沈みがちなんだ。でも、指摘されている通り、とてもきついのです。

そして坂口さんは、こうした治療法を受けていない。
氏の主治医曰く、「あなたの場合、躁鬱の波を利用して仕事をしてお金を稼いでいるからね…」
あまり薬を飲まず、創造性を潰さず、躁鬱も押さえ込まず、できるだけ自然な状態で脳味噌を発動させているのだそう。
「もうこんな大波に乗った状態で生きていくのはつらい、だから真ん中に持っていってくれ」と懇願するも、「この躁鬱でごはん食べていっているんだから駄目よ、真ん中にしちゃ」と却下されている。



私も躁鬱の波のつらさ、躁状態の苦しさは身をもって知っているので、真ん中にして欲しいという気持ちは痛いほど良くわかる。
でも、真ん中とはいえ沈みがちの人生と計りにかけるなら、私は躁鬱波のある人生を選ぶ。

私が今の自分の一番嫌いな点は、まともに制作していないこと。創造性のない日々を送っていること。
そう、薬で無理矢理"やや下がった真ん中"にされた自分が嫌いなんだ。
波のある人生なら、今ほどじゃなくとも昔からなんだから、"やや下がった真ん中"よりずっと慣れている。
自傷や自殺未遂がまた増えるかもしれない。でも、何もできない日々を淡々と過ごすよりずっとまし。


そして、願わくば、躁の自分も鬱の自分も愛したい。
互いに制御・牽制しあっている自身の中の2人を、尊重しあいたい。

躁で仕上げた作品を否定することなく、冷静に批評・推敲する、薬物的でない"真の真ん中"の自分にも時々出会いたい。
普通の人より解像度の高い世界とアイデアの降り注ぐ時期を折角持っているのだから、思う存分活用したい。
やらずに後悔するなら、やって後悔する勇気を持とう。
鬱の時の思考は本来の自分のものではないと自己暗示をかけよう。
誰より愛し、信頼している夫の判断を今よりもっと重要視し、規範としよう。


ひとまず、これが私の最新ヴァージョンです。
今後の薬物療法がうまくいくか、余り波を押さえない治療が成功するかどうか、現在の主治医(東京→福岡への引越しにより、件の名医とは別)が同意してくれるか否かもわかりませんが、創造的生活への復帰目指してがんばります。

…とはいえこうして三部作書いている段階で躁状態決定なので、薄目で、あまちゃんの時のピエール瀧みたいな笑みで見ててください。
また進展あり次第、続きを書こうと思っていますが、俄然未定です。


最後に、私がメール・電話等に反応しない時は鬱の時です。
数々の不義理、お許しください。こういった病気なので、長い目でのんびり見ていただけたらありがたいです。

また、精神病における自殺は確実に防ぐことのできる"うっかり死"だと思っていますし、以前、衝動的ではなく具体的かつ現実的に自殺を考えていった時、最後に残ったのが「死にたくない」という感情と恐怖だったので、私は大丈夫です。<私の処方 2014/10/05時点>

デパケンR 800mg(躁病、躁鬱病によく処方される抗てんかん薬)
セロクエル 350mg(非定型抗精神病薬
サインバルタ 40mg(抗うつ薬SNRI
リフレックス 30mg(抗うつ薬-NaSSA)
アナフラニール 10mg(三環系抗うつ薬
リボトリール 0,5mg(パニック障害躁鬱病によく処方される抗てんかん薬)
アルセノール 25mg(β遮断薬)

頓服
レキソタン 5〜15mg(緩和精神安定剤マイナートランキライザー
リスパダール内用液 1〜4mg(非定型抗精神病薬

以上、1日18,5錠〜21,5錠+4包を服用中



坂口恭平 躁鬱日記 (シリーズ ケアをひらく)

坂口恭平 躁鬱日記 (シリーズ ケアをひらく)

Amazonの紹介文が素晴らしいので以下抜粋

…青年期からこの病に悩まされてきた著者は、試行錯誤の末、この病はもはや自分では手に負えないと諦め、「意のままにならない『坂口恭平』をみんなで操縦する」という方針に転換した。その成果やいかに!